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2010年11月 アーカイブ

創造すること

日本が西欧諸国をキャッチ・アップしたいま、日本は自らの力でモデルを創っていかなければならないのです。


消費もしかりです。


ひたすらヨーロッパ・アメリカに追いつくことに専念してきた日本に、消費を創造する器量があるでしょうか。


新しく創造することは、音楽・絵画・文学などの芸術に限らず、経済活動においても、やさしいことではないのです。


新しい商品をつくるには、そこには新しい理念が必要とされるからです。


経済の歴史をひもとけば、そういう事例にはこと欠かないのです。


現在、日本の書店の店頭にもある「クックの旅行案内」という旅行ガイドの本は、イギリス産業革命が華なやかりし19世紀後半、バプティスト派の牧師だったトーマス・クックが考え出した旅行斡旋業からスタートしたものです。


この旅行斡旋業をはじめたのが、ホテルでもなく、鉄道会社でもなく、牧師であるところに大きな意味があるのです。


当時のイギリスは、どうにか労働者の労働時間も土曜日は半ドンになり、日曜日は休日になりつつある時代でした。


そして教会では、日曜日には、日曜学校のピクニックを毎週やっていましたが、クックはどこへ行くか調べるのは大変面倒だと気がついて、旅行案内をつくることを考えついたのです。


しかしクックが、旅行業者のはしりになったのは金簿が動機ではなかったのであって、日曜学校1のピクニックを普及することにあったのです。

創造すること 2

19世紀後半では、旅行代理業というのは超最新商売であったことは間違いありません。


この商品がホテルや鉄道会社のような金儲けを動機とするものからではなく、ただ日曜学校の行事を盛んにしたいという一人の牧師の理念から誕生したことを忘れるべきではありません。


また20世紀のはじめ、アメリカではヘンリ・フォード1世が、大衆車T型フォードを大量生産方式で大量生産し、自動車王国アメリカの基礎を築いました。


フォード1世の企業哲学は、およそ資本の論理とはかけ離れた理念に支えられていました。


たとえば、農家に生まれたヘンリi・フォードが考えたことは、農作業につきものの重い労働から農民を解放すること。


また大量生産によって自動車のコスト・ダウンをはかり、安い価格で自動車を供給すれば、金持ちの上流階級だけしか手に入れることができなかった自動車が、多くの一般大衆のものになるというものでした。


フォードが信奉した標語に「プライス・メイクス・ザ・マーケット」というのがあります。


この意味するところは、大量生産によるコスト・ダウンで、大量の自動車を低価格で提供すれば、売れるということ。


フォードは大量生産方式を採用する際に、労働者に対する賃金を大幅に引き上げた。


もちろんこれは労働能率を高める代償でもありましたが、同時にフォード社の従業員にも自動車が購入できる所得を保証する試みでもありました。


このようにフォードの自動車哲学は、単なる金儲けにあったのではなく、農民の労働軽減であり、また富める階級のための奢修品としてではなく、一般大衆のための実用品としての自動車を提供することなどにあったのです。


これらのことから新しい消費・需要あるいは製品・商品を創造し、開発していくには、つねに新しい理念が必要であることがわかります。

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