自由貿易体制の維持
「消費は消費なり」という格言は、"経済活動の目的は消費であり、生産はあくまでも手段にすぎない"ことを意味しています。
そして日本あるいは日本人はこの目的と手段の関係を、取り違えてきたのです。
しかしこの目的と手段の取り違え、主客転倒は、消費=生産の関係だけでなく、日本の貿易行動と日本がつくり上げた産業構造との関係にもみることができるのです。
天然資源に乏しく、加工貿易に頼らざるを得ない日本は、世界の中で自由貿易体制の恩恵を最大限に受けている国の1つであることには間違いないでしょう。
もし自由貿易体制が崩れ、世界の各国が保護貿易主義に走ると、日本はたちまち経済的に沈没してしまうでしょう。
したがって日本がそれを防ぐ唯一の方法は、貿易相手国を保護貿易体制に追い込まないで、自由貿易体制を堅持することなのです。
しかし日本が戦後一貫してつくり上げてきた産業構造は、外貨不足の不安感・恐怖感に基因する見せかけの自己充足型産業構造です。
この自前主義経済は、"輸入しない"あるいは"輸入できない"構造をつくり出したのです。
この構造は、どうみても自由貿易体制とは相入れないもの。
この意味で、日本は擬制(見せかけ)の惰前経済を築くために、自由貿易体制を手段として利用してきたといえなくもないでしょう。