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2011年02月 アーカイブ

アメリカの切り札

日本とアメリカは経済的には運命共同体なのです。


アメリカが悪いの、日本が悪いのという議論は、ただ両国民の感情を高ぶらせるだけでなく、政府・最高責任者の政策運営の是非を問題の焦点からはずすことになります。


摩擦・軋礫の解決に役立つどころか、むしろ有害なのです。


最も大切なことは、摩擦・軋礫現象に惑わされることなく、それを惹起させている両国の経済構造なり産業構造を客観的に分析し、正しい現状認識をすることです。


1960年から80年までの、20年間にわたる、日本・アメリカ両国の産業別の国際競争力を比較したものがあります。


国際競争力を測る指標として使っているものは、全要素生産性と呼ばれるものです。


これは生産に必要なすべての要素、つまり、いろいろな原材料、労働、資本などの全投入要素を総合的に測り、その投入量に対する生産量の効率を測ったものです。


このTFPは、ある生産に必要な全投入要素の生産効率を示している点で、技術水準の総合評価でもあります。


日・米の産業を30の産業部門に分類し、中心から放射状の軸で示した図があります。


それぞれの軸の中心からの距離がその産業の生産性の水準を示しています。


両国の産業の生産性の特徴をはっきりさせるために、各産業の生産性水準をそれぞれ実線と点線で結んですが、実線は日本、点線はアメリカの生産性水準であり、中心に近い内側にプロットがある産業は、相対的に生産効率が低いことを示しています。

日本とアメリカの産業構造

1960年と1980年を比較してみると、1960年では、すべての産業部門で、日本の生産効率はアメリカのそれよりも劣っており、アメリカの技術効率が優れていることがわかります。


1980年になると、両国の技術格差は急速に縮小し、いくつかの産業では日本の方が優位に立ったのです。


1960年から1980年の20年間、日本の技術水準が急速にアメリカに追いついてきた時間的プロセスが、これらの図から読みとれるのです。


1960年以来、日本の産業のうち、いち早くアメリカの産業の技術水準に追いついたものは、製造業の中でも化学、鉄鋼などの素材生産部門であり、それらが他の加工組立型生産部門への原材料の投入効率を高めたのでした。


加工組立型の製造業の生産効率のキャッチ・アップは、素材型の製造業よりも時間経過上いささか遅れて進んでいます。


1980年でも、アメリカの水準が高い産業部門がいくつかの軽工業にみられますが、格差は縮まりつつあり、近い将来日本がキャッチ・アップする予想ができます。


しかし、農業、石油・石炭製品など土地やエネルギーなど天然資源に依存する度合いの大きい産業部門では、1980年でもアメリカは断然優位に立っており、歴史的にも、その効率格差は縮小しておらず、将来ともキャッチ・アップは不可能です。


これらの図からわかるように、日本が40年以上かけて、堂々として築き上げてきた産業構造も、アメリカとの比較において、キャッチ・アップできた産業は、数部門にすぎないのです。


・・・1980年時点でのデータでは、古いと考えられるかもしれませんが、産業構造としては現在もあまり変わっていません。


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