人びとの人間力の動員 3
現有勢力で生産性を大きく上げるより途がないこの事態を、工場長のAさんは、特別活動の推進によって切り抜けるとともに、それに留まらず、この機を生産性向上の踏み台にしようと考えました。
それが、81年度中に生産高を1.5倍にしようという新作戦でした。
2つの金型チームは、このために編成された製品別チームであり、以下に紹介するのは両方の金型チームの活動です。
金型とは、鍛造や鋳造の原型となる鋼鉄の型であって、この工場では、小は50キログラムくらいから大は4万キログラムに及ぶものを製造しています。
量産品と違って、どれ;として同じ物はなく、完成までには何日もかかる物ばかりです。
しかもこの作業は、かなりの専門知識を要する一方で、熟練された職人的技能に負うところが大でした。
このことからもたらされる作業の非効率性ははげしく、新作戦における一大エアポケットになっていました。
なにしろ、「出来上がった時が納期」とされ、最終の仕上げ工程だけでも、順調にいって3週間、長いときには数週間。
ちょっとトラブルでもあろうものなら、「いつ出来上がるかわからない」という状態でした。